Saturday, December 01, 2007

オタワのドラマ第一幕 (2007/12/01)[s]

(2007/12/01)

『オタワのドラマ第一幕』

「間もなくクリスマスだから、いつもは野次と怒号が飛び交うオタワの議会も、少しは静かになるかと思ったのだが、今度は二昔前にカナダの首相だったマウルーニー氏と政商シュライバー氏をめぐる虚々実々のドラマが演出されてサイレントナイトどころではなくなった」

「1984年から9年間進歩保守党政権の首相だったマウルーニー氏が1993年引退する時、貯えがゼロだったというんだね。 頼るは年金の10万ドルだけ。 さあモントリオールに買った豪邸の借金はどうなる。 そこでマウルーニー元首相の補佐官がドイツ系カナダ人の政商シュライバー氏に助けを求めた。 シュライバー氏はヨーロッパからカナダへエアバス導入を図った際2000万ドルの潤滑油的資金を受取っている。 そこで『よし判った』とマウルーニー氏にカナダやスイスのホテルで10万ドルの現金が入った封筒を、3回にわたって手渡したというんだね」

「しかしそれが表に出てはまずいと思ったマウルーニー氏は、シュライバー氏に『自分は潔白だ』と証明する手紙を書かせようとした。 ところがシュライバー氏は渋る。 マウルーニー氏は受取った30万ドルについては後日税金を払ったものの、これがエアバスからのコミッションから出たとあってはまずいんだね」

「その間、ドイツ政府は、シュライバー氏を脱税と賄賂を理由に、カナダ政府に同氏の身柄引渡しを求めてきていた。 その駆引きは8年以上続いているのだが、ここへきてマウルーニー氏だけでなく、現首相のハーパー氏の名前も浮かび上がってきた。 それまでハーパー首相は、マウルーニー・シュライバー問題については野党の徹底解明の要求を斥けてきたのだが、自分の名前が絡んできたのでは一蹴もできない。 一転して徹底解明を約束した」

「しかし海千山千のシュライバー氏が証言台に座ったのでは、保守党としても時限爆弾を抱えたようなもの。 そこで、ハーパー首相の明言にも拘わらず、ニコルソン法相は、シュライバー氏を早くドイツに引渡したいと煮え切らない態度で。 結局裁判所が引渡し延長を認めて、爆弾は不発のまま今暫く温存の状態だ」

「しかし保守党政権は少数与党。 磐石というわけにはいかない。 それに保守勢力の合同で出来た政党だから、中には進歩保守党のマウルーニーに反感を持つグループもある。 リフォーム、アライアンスの御旗を掲げて飛び出した分子も同居しているが、不満が消えたわけではないから一枚岩とは言えない」

「ハーパー首相も今はマウルーニー氏を先達として仰いでいるが、元は進歩保守党にあきたらなかった旗手の先駆け。 それに保守党の副党首で元進歩保守党党首のピーター・マッケイ国防相は父親のエルマー・マッケイ氏がこの問題に深く関わっていたことから、立場も微妙。 今まで正義の騎士をもって任じてきたマウルーニー氏も足許が怪しくなってきた。 今後証言台に立てば『ノーコメント』で通すわけにはいかない。 このドラマも回り舞台が次の場面を舞台の正面にもってくれば、第ニ幕はどんな展開になるだろうか」

(了)

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