Saturday, December 15, 2007

オタワのドラマ第2幕 (2007/12/15)[s]

(2007/12/15)

『オタワのドラマACT2』

「カールハインツ シュライバーとブライアン マウルーニーの二人が対決する第ニ幕は、議会で顔をあわせる真剣勝負とはならなかったが、お互いに『嘘つき』呼ばわりを繰り返していたなあ。 そのためか、疑惑の解明とは逆に、ますます混迷の度を深めることになった。 判定は来年まで持ち越すことになったようだ」

「シュライバーはドイツ訛りの英語を話すカナダ人で、国際的にエアバスや戦車を扱う73歳の政商。 しかしドイツ政府は、賄賂や脱税、詐欺の疑惑で追求しているのだが、8年以上も独加政府の司直の手をかわし、未だにカナダからドイツへの身柄引き渡しが実現していない。 シュライバーとしては手錠をはめられたままドイツへ行くことは何としても阻止したいところ。 そこでマウルーニーとの金の絡んだ繋がりをほのめかして、カナダ議会やメディアの関心をそそり、日一日と引き延ばし作戦をはかり、少なくともクリスマスと新年はオタワの豪邸で迎えることになりそうだ」

「一方68歳のマウルーニーは、カナダの首相を9年間務めた千両役者。 議会で調査を進める倫理委員会の席でも、名優としての期待を裏切らない見得を切ってみせてくれた。 ケベックの田舎の鉱山町で電気技術者の家に育ったマウルーニーは、Fザビエル大学時代から政党活動に打ち込み、三十代の若さで進歩保守党党首選挙に挑戦。 その時一旦はジョー クラークに敗れたが、下積みはいやだと、米企業のカナダ法人の社長になる。 しかしシュライバー等の支持を得て、再び数年後に挑戦。 そしてクラークを降して党首の座に。 翌1983年には首相の印綬を帯びたのだが、その時の前首相は自由党のジョン ターナー。 ターナーはピエール トルドーから総理を引き継いだばかりだったが、その引継ぎ人事を巡って、党首討論の際、マウルーニーは相手をトコトンまで追い詰め容赦しなかった。 『武士の情』というか、相手に一片の雅量もみせなかったマウルーニーの独善的な攻撃が印象に残っている」

「今度のシュライバーに対する非難にしても、千ドル札の詰まった封筒を、モントリオール、ニューヨーク、チューリッヒのホテルで受取っておきながら、5年間は沈黙。 そしてそれを銀行に預金もせず、現金のまま金庫にしまって置き、関連書類も破棄して無いというのだから、、摩訶不思議だ」

「その間、クレチアン自由党政府に対し、名誉毀損を理由に1,500万ドルの賠償を訴え、、自由党政府もその言い分を認めて、210万ドルをマウルーニーに支払っている。 自由党政府の方にも瑕疵があったものの、マウルーニーの『名誉毀損の訴え』は結局黒か灰色か、ともかく白でなかったのだから、その210万ドルは如何なるのかなあ」

「議会の証言の席では、例の低音でマウルーニー独自の『正論』を響かせ、大向こうのマウルーニー ファンを唸らせたが、確かに雄弁、謙虚、それにユーモアとペーソス、怒りと悔恨を取混ぜ、『家族の悲嘆』も訴えてみせたところは名優のパフォーマンスだった。 しかし世論調査によると、シュライバーを信じる人が30%、マウルーニーを信じるのは10%で、残りは『判らない』という結果が出ている」

「これからクリスマスだ。 そして正月だ。 シュライバーとしては、ドイツに引き渡されれば一生牢獄から出られないだろうから、たとえ1週間でも1カ月でもカナダに居られれば、その分だけ勝ちだ。 手錠をはめられ議会に出頭させられたシュライバーの好運を祈る判官贔屓もカナダでも結構いるだろうから、これも『一寸先は闇』なのかな」

「『メリー クリスマス』の後、年が明けたらアクト スリー、ドラマの第三幕が始まるだろうから、新年も波浪含みの船出だ」

(了)

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