Thursday, May 17, 2007

ビジネス仄聞 (2007/05/17)

「クライスラーの特売は、今となっては三日前の古新聞みたいな話になってしまって恐縮。  しかしこの前の短信では、カナダのマグナという部品メーカーがクライスラーを買収することになりそうだという所で報告が尻切れトンボ。 そこで遅まきながら一応その予想が外れた経過を振り返ってみましょう」

「要するに、カナダ側がオッファーした45億USドルでの買収案は空振りに終わって、ニューヨークのサーブラスという投資会社が74億ドル出すことになったから勝負が決まったということだね」

「カナダのメディアもサーブラスのことは伝えていなかったが、エアカナダにも投資している巨大な投資機関だ。 経済記者にしてみれば、カナダがアメリカの三大自動車メーカーの一つを確保するチャンスと期待したのだが、意外な幕切れとなった」

「何しろマグナはカナダの会社とはいえ、年間の売り上げが240億ドル。 一方サーブラスは年間600億ドルの投資収益がある。 クライスラーの買収が実現しても、その後に元社員の年金や医療補償に200億ドルが必要だ。 サーブラスならその位の調達も可能ということだ」

「しかし、カナダのリポーター達は、サーブラスのことを禿げたかファンドと言っているではないか。 いずれクライスラーの資産も解体し切り売りして儲けようというのが狙いじゃないのか」

「それはヴァルチャーファンドの常套手段だが、それにしても今度はクライスラーという伝統を誇る名門だ。 信義的に社会から指をさされるようなことは新しいオーナーとしても慎重になるだろう。 少なくとも4~5年は再建に努めるのではないかと思う」

「クライスラーで働いている11,000人のカナダ人にとっては、ショックだね。 新会社の社長はカナダ人だが、現場や第一線の社員にしてみれば、人員整理が目の前に迫っている」

「いや、カナダ人だけに限らない。 アメリカのクライスラー部門だって整理は必至だ。  だから、組合も新経営陣との対決に戦々恐々としているはずだ」

「ダイムラーもクライスラーという重荷から解放されてホッとしている。 でも旧クライスラーの借金は今後もダイムラーの責任として残るらしい」

「買収が実現しても、これで一件落着というわけではないんだね。 ドラマは幕を引いたわけではなく、実は今から始まったばかりと言えるかもしれないね」
(07/05/17)

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