Monday, January 01, 2007

保守政権の一年 (2007/01/01)[s]

「ハーパー保守党政権の一年」

「今から一年程前に選挙があったわけだが、選挙の半ばまでは、ポール・マーティンの自由党が優勢だった。 ところがその選挙の最中に、RCMP(連邦警察)が、突然自由党のインカム・トラストの情報漏洩をめぐって捜査の手をいれると発表した。 時あたかもクリスマス。 議員や候補者は全員選挙区に帰って選挙運動中。 それに自由党は、ケベックのスポンサーシップ・スキャンダルで国民から疑惑の目でみられている。 RCMPの動きには、タイミングといい、動機といい、不審な点があったが、政府は黙認せざるを得なかった。 その結果自由党の支持率は6ポイント急落し、保守党が勝利を拾ってハーパー政権が誕生した。 そのハーパーが真っ先におこなったことは、RCMPを訪れて、長官と仲むつまじいところを見せたが、こういう行為は今までの首相にはなかったことだ。 それに記者団の質問に対しては黙殺で通した。 その後一年が経過したのだが、RCMPは、未だにその選挙干渉とみられる捜査の動機とタイミングについては沈黙したままだ」

「RCMPといえば、ロイヤル・カナダ騎馬警官隊。 つば広のソフトの帽子に赤い制服に身をかためた隊員は現在24,000人。 伝統的に国民の信頼と尊敬を得ているカナダのシンボル的存在だ。 しかし数年前シリア生まれのカナダ人について間違った情報を米政府当局に通報した。 その結果ニューヨーク空港で米官憲に逮捕され、シリアに連れていかれた。 そして拷問に苦しむことになるのだが、シリアもカナダのRCMPも結局は被疑者の無実を認めた。 しかし米政府はブラックリストから外すことを拒否し未だにテロリスト扱いだ」

「RCMPもこの事件について一応その非を認めたのだが、誰も責任を取ろうとはしない。 長官も初めは辞任しないと頑張っていたが、その発言の矛盾を議会でつかれて、ハーパー首相もかばいきれなくなり、辞表を受理した。 だがRCMPの誰が米国政府に間違った情報を告げたのか、依然として黒い幕はおりたままだ。 辞任した長官の後任には、暫定的に女性の副長官がそのポストを預かっているが、いずれ正式な長官が任命されれば、神聖にして冒すべからざる存在だったRCMPも改組変革を余儀なくされることになるだろう」

「ところでハーパー政権の一年はどう評価する?」

「少数与党に基づく保守党政府だが、ハーパー首相はあたかも多数派であるかの如く政権運営を行っている。 これは、自由党の党首不在が長かったことと、NDP新民主党やBQブロックケベコアの党勢が今ひとつ伸びず、保守政権倒閣に及び腰だからだろう。 となると、次の選挙は来年春と言う声が高かったのだが、春にはケベックの州選挙も予想されている。 ケベックは連邦政権の浮沈をかける重大な州だ。 それに自由党の幹部も党首選出で金をつかったし、NDPもBQも今直ぐの選挙では自信がない。 となると、選挙は夏か秋。 ひょっとしたら2008年にもつれこむかもしれない」

「ハーパー首相も前半は新人総理としては思い切った独裁的な手綱捌きでなかなかのパフォーマンスだったが、ワシントンとの関係も改善されたし、国内の支持も、メディアを敵にまわした割には、一応安定している。 しかし選挙前の公正廉直な倫理公約とは裏腹に、選挙参謀を下院議員でもないのに問題をはらむ公共事業相に任命したり、自由党の看板で当選した人物を選挙民の意思を無視して保守政権に迎えたり、言行が一致しない点がある。 それに環境問題をことさら軽視し地球温暖化に対してもまともに取組もうとしなかったが、今になってみると環境問題が選挙の重要課題になりそうだというので急遽政策の転換をはかろうとしている。 アフガニスタンの出兵を決めたのは自由党政権だが、その期間を延長したのは保守党政権だ。 最近まではアフガニスタン出兵を支持しないのは非国民扱いにされたが、その将兵の犠牲が大きく朝鮮動乱の消耗に匹敵するようになるにつれ国民の愛国心の発露も微妙な変化が生じつつある」

「もし選挙が2007年に行われるとすれば、争点は環境とアフガニスタンか。 今保守党と自由党の支持率は伯仲している。 どちらが勝ってもまた少数派の政権ということになりそうだ。 ここは、ケベックの州選挙も含めて、剋目して待つ以外にないようだ」 

‘(07/01/01)

0 Comments:

Post a Comment

<< Home